遍路用品 「爆買い」で失敗

 JR徳島駅には午前6時30分到着予定だから、着いたらすぐに改札を通って午前6時40分発の高松行き普通列車に乗ろう。そうすれば、JR高徳線の板東駅に午前7時1分に到着し、20分ぐらい歩いて午前7時半までには第1番札所の霊山寺に着けるはず。霊山寺では朝から売店が開いているそうだから、遍路用品をあれこれ買い揃えよう。きょうは調子が良ければ30km以上歩けるかもしれないな-。

 東京発徳島行きの深夜バスでは、初めての遍路旅にちょっと緊張していたのか、スマートフォンで列車ダイヤを調べたり、あれこれ思いめぐらせてしまい、あんまり眠れませんでした。バス代は「早割5」という早期割引で片道6700円なり。

 ところが、実際にバスがJR徳島駅に到着したのは、午前7時10分。東名高速道路の集中工事で40分遅れてしまい、予定のJR高徳線普通列車を逃してしまいました。改札口の掲示板をみると、板野駅に停まる次の列車は午前8時23分発の特急「うずしお6号」だから、1時間10分も間隔があいてしまいます。東京の喧騒を離れて徳島に着いたばかり私には、のんびり1時間あまりをかけて次の列車を待つという気持ちのゆとりはありませんでした。そのうえ、こんな近距離なのに特急料金を払うのは、なんだかバカバカしい。なにかに追いたてられるような気持ちで、ちょうどホームに入ってきた午前7時31分発の鳴門行きに飛び乗りました。目指すは板野駅の一つ手前にある池谷駅。車内は通学途中の高校生であふれかえっていました。

 午前7時48分に池谷駅着。重たいザックを背負って田園風景の小道を歩き始めました。50分ほど歩くと、車道沿いに霊山寺の山門がみえてきました。

車道に面した第1番札所・霊山寺の仁王門。ここから四国八十八ヶ所のお遍路さんが始まります

 納経帳も持っていなかったので、まずは遍路用品をそろえないと、お参りを始められません。さっそく本堂のわきにある遍路用品の売店を訪ねました。

 初心者のお遍路さんとして、何を買うべきか。店員のおばさまに聞くと、次々とグッズが出てきます。まず、納経帳。四国八十八カ所の霊場では、お参りを終えたあと、納経所に寄って納経帳に記入してもらいます。それがお参りをちゃんとしたという証明になります。だから納経帳はマストバイです。納経帳にはいくつかの大きさやタイプがあり、「大きなサイズは自動車で回るお遍路さんがよく使います。歩き遍路さんは荷物になるから小型の納経帳を選ぶ方が多いですね」とのこと。これから大切に持ち歩くものだから、小型で紙質のいい納経帳を選びました。2500円でした。

 経本について。四国八十八ヶ所の札所では本堂と太子堂で般若心経を唱えますが、そのときには自分の記憶に頼るのではなく、経本を手に取って音読することが作法となっています。無料のパンフレットに印刷されている般若心経を読んで済ませるひともいますが、私は製本された経本を買いました。各札所の御本尊と御真言も載っているので便利です。

 次に、身なりを整えます。白衣には袖のあるタイプとないタイプがあり、歩いて回ることを考えて袖なしを選びました。菅笠(すげがさ)にも「大」と「小」があり、こちらは「大」で。杖は金剛杖(こんごうづえ)といって、その頭部お大師さまに見立ててカバーをつけます。法衣として白衣の上につける輪袈裟(わげさ)、お経をあげるときに手にかける数珠(念珠)も選びました。

 道具類では、線香、ロウソク、ライターに、自分の名前を書き込んで札所などに納める納札、こうした道具類を入れる頭陀袋(ずだぶくろ)をそろえました。新しいことを始めるときは、ついカタチから入ってしまいます。

 遍路用品っていろいろあるんだなあ、と思いながら会計してみると、合計1万8820円にもなってしまって、びっくり。倹約しようと思っていたのに、いきなりこんな「爆買い」をやっちゃうとは-。でも、一通りそろえたくなっちゃたので、そのままお会計してしまいました。

 そもそも遍路用品で何をそろえるかは、それぞれの好み次第。極端に言えば、すべてのお遍路さんが持ち歩くのは、納経帳だけかもしれません。

 服装では、菅笠や金剛杖を使わないお遍路さんもよく見かけました。白衣を着ない人もいます。ただ、白衣や菅笠がないと、外見でお遍路さんだとわからないので、地元のひとからお接待を受けるなどお遍路さんならではの機会が減るかもしれません。あとでわかったことですが、輪袈裟や数珠は、むしろ身に着けているお遍路さんのほうが少ないです。また、納経帳にはさまざまな種類があるので、お気に入りの一冊を事前に探しておくのもいいと思います。

 これも後で知ったことですが、こうした遍路用品は、あちこちの札所や門前の商店でも手に入ります。だから、第1番札所をスタートするときには最小限の装備にしておいて、歩き続けるうちに必要だと思ったものを少しずつ買い揃えていくほうが賢いかもしれません。そうすれば荷物が増えすぎないで済むし、出費も抑えられます。私は、あとになって、最初にまとめ買いしたことを後悔してしまいました。

 なにはともあれ、真新しい白衣を身に着け、菅笠をかぶり、金剛杖を片手に、さて出発-。

霊山寺本堂の隣にある遍路用品の売店。お参りの作法なども教えてくれます

 

【第1日 午前の部】
[歩いた日] 2016.9.28
[コース] JR徳島駅-第1番札所・霊山寺

[天気] 曇りのち雨
[歩行距離] 22.9km(十楽寺まで)
[歩数] 31,021歩

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