高野山から町石道をたどって天野の里まで歩いてきました。某宿坊に泊まり、朝から奥之院と霊宝館に寄ってから、いざ出発。町石道を下るのは初めてですが、高野山の大門から矢立までは下り坂ばかりなので、スピードが上がりますね。矢立から二ツ鳥居までは小幅なアップダウンはあるものの、ほぼ平坦な道で気分よく歩けました。
天野の里まで降りてくると、見頃を迎えた桜が出迎えてくれました。民家軒先には雪柳なんかも咲き誇っていて、まさに春爛漫の風情です。標高800mの高野山では、まだ蕾の桜が多かったのに、標高500mの天野まで降りてくると、これほど違うんですねー。
天野では、まず西行堂へ。お堂の場所は移されたそうですが、天野は西行の妻子が暮らした里です。西行本人は高野山に庵を構え、妻子のいる天野に通って来たそうな。まぁ、日本各地を旅したりもしてるから、どのくらい天野の里にいたかは不明です。
随筆家の白洲正子は、著書「西行」で、天野の里を舞台にした西行の暮らしぶりに触れ、ほんとうに自由な心を持ったひと、といった内容を書いていたと記憶していますが、その通りですね。近くには西行を慕ってきた宮中女性のものと伝わるお墓もありますから、まさに華のある人生だったのでしょうね
丹生都比売神社も桜がいっぱいでした。最近、私のなかではコミックの阿吽に出てくる丹生都比売のイメージが強烈だったのですが、こうして丹生都比売神社の端整な拝殿に参拝してみると、やっぱり女神の神社だという印象です。ちょっと気になったのは、二ツ鳥居でも、丹生都比売神社でも、花と葉が同時に出てくる桜が多かったので、山桜が中心だったことです。
空海が高野山の土地神だった丹生都比売の里を遥拝するために建てたという二ツ鳥居は、山桜の花に囲まれていました。
丹生都比売神社はいろいろな桜がありましたが、本殿の周りにあるのはやはり山桜。ソメイヨシノが生まれた江戸時代以前から続く聖地だから当然かもしれませんが、生命力があって香りが控えめな山桜は高野山のお山に連なる里にふさわしいなあ、と一人で感じ入っておりました。
[歩いた日]2018.4.5
天気:晴れ