サイトアイコン お遍路オンライン

歩き遍路が頼りにする地図

※2021年9月現在の情報に更新しました。

 四国八十八ヶ所霊場を歩いて巡礼するお遍路さんは、「歩き遍路」と呼ばれています。この歩き遍路をやってみようと思いつき、具体的な計画を立てようとすると、まず欲しくなるのが地図です。

 八十八ヶ所の札所となるお寺の場所は、四国八十八ヶ所霊場会の公式HPやいろいろなガイドブックが出版されていますし、道路地図やグーグルマップでもわかります。でも、歩き遍路にとって肝心の歩行ルートについては、インターネットで検索しても、あんまり情報がみつかりません。結局のところ、多くの歩き遍路は、へんろみち保存協力会が発行している「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」を使っています。特に、初めて歩き遍路に挑戦する方にとっては、必携品といえるでしょう。

四国八十八ヶ所を一緒に回り、くちゃくちゃになってしまった「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」

 この「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」は大変な労作で、さまざまなルートと区間距離が緻密に書き込まれ、わかりにくい場所には拡大地図が添えられています。八十八ヶ所霊場だけでなく、別格二十霊場への歩行ルートも網羅されています。

 「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」は、へんろみち保存協力会のHPから購入できます。注文してから数日後にゆうメールで届きました。amazon などオンライン書店での取り扱いはないようです。

 へんろみち保存協力会 https://www.iyohenro.jp

 2019年10月に第12版が発行されまして、例えば、第21番札所の太龍寺に加茂から尾根道をたどる「加茂道(かも道)」が追加されたほか、宿泊施設の情報もアップデートされています。ちなみに加茂道は、江戸時代中期に第20番札所の鶴林寺から水井橋を渡って太龍寺に至るルートができるまでは、こちらがメインルートだったそうです。「太龍寺をめぐる古道歩きを満喫」に書きましたが、古道の趣を楽しめる遍路道で、おすすめです。

 「四国遍路ひとり歩き同行二人」には、[地図編]のほかに、歩き遍路の基礎知識や作法、霊場の一覧がまとめられた[解説編]もあります。こちらは一度読んでみて参考になりましたが、少しでも荷物を軽くしたい歩き遍路にとっては、なくても困らないと思います。 

⇒「慣れないと読み取りにくいところも」

 多くの歩き遍路が頼りにしている「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」ですが、慣れないと読み取りにくいところもあります。

 まず、地図に記載されている東西南北の方角が、それぞれの地図やページごとにバラバラになっているところです。これは歩き遍路の歩行ルートをなるべくコンパクトに地図に落とし込むために、苦労して編集作業を行った結果だと思われます。ただ、市販されている登山地図や国土地理院の地勢図など、地図の上が常に北を指すという一般的な地図を使い慣れていると、最初はかなり戸惑います。

 次に読み取りにくいと感じるのは、縮尺が地図やページごとにバラバラなところです。地図上では3cmで示された距離が、実際には 1km のときも 2km だったりするときもあります。

 方角や縮尺やそれぞれの地図やページに明記してありますので、歩き続けて新しいページをめくるたびに、自然と方角や縮尺を確認しながら地図を見るようになると思います。コンパスがあったほうが便利という意見もあるようですが、地図を見るたびにコンパスをあてるのも面倒なので、使っているうちに慣れるのが一番でしょう。

 また、「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」では、歩き遍路の歩行ルートに絞って地図が作られているので、駅・バス停や宿泊施設がわりと近くの便利な位置にあるのに、地図上には表示されていないから気づかなかった、ということも起こります。こんなときにはコンパクトな四国全図や県別地図などを持ち歩くと、前夜に歩行ルートを確かめるときに重宝します。

 特に、徒歩だけでなく、鉄道やバスなどの公共交通機関を利用する方は、歩行ルートよりも行動範囲が広くなるので、広い範囲をカバーした地図が活躍します。例えば、第43番札所・明石寺から第44番札所・大寶寺に公共交通機関を利用する場合、JR予讃線卯之町駅からJR松山駅まで鉄道に乗り、JR松山駅からバスに乗り継いで久万高原町に行くのですが、こうしたルートは「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」には想定されていません。こんなときに広域地図があると、それぞれの札所の位置関係が一目でわかって便利です。

 JR高知駅に観光パンフレットとともに置いてあった地図「四国遍路へ出かけよう!」(発行:四国ツーリズム創造機構)は無料ながら四国全図に八十八ヶ所の札所、鉄道や道路などが書いてあり、「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」だけではわかりにくい札所と駅の位置関係などが一目瞭然で使い勝手がよかったです。

  ただ、「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」などの地図は、紙でできているので雨に弱く、使っているうちにぼろぼろになってしまいます。ジップロックのように封ができる半透明の袋か、登山用品の地図ケースに入れて使用すると耐久性がぐんとアップします。モンベルの地図ケースが活躍してくれました。

高知駅に設置されていた地図「四国遍路へ出かけよう!」。無料ながら、とても使いやすかった

 

モバイルバージョンを終了