歩き遍路が頼りにする地図
多くの歩き遍路が頼りにしている「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」ですが、慣れないと読み取りにくいところもあります。
まず、地図に記載されている東西南北の方角が、それぞれの地図やページごとにバラバラになっているところです。これは歩き遍路の歩行ルートをなるべくコンパクトに地図に落とし込むために、苦労して編集作業を行った結果だと思われます。ただ、市販されている登山地図や国土地理院の地勢図など、地図の上が常に北を指すという一般的な地図を使い慣れていると、最初はかなり戸惑います。
次に読み取りにくいと感じるのは、縮尺が地図やページごとにバラバラなところです。地図上では3cmで示された距離が、実際には 1km のときも 2km だったりするときもあります。
方角や縮尺やそれぞれの地図やページに明記してありますので、歩き続けて新しいページをめくるたびに、自然と方角や縮尺を確認しながら地図を見るようになると思います。コンパスがあったほうが便利という意見もあるようですが、地図を見るたびにコンパスをあてるのも面倒なので、使っているうちに慣れるのが一番でしょう。
また、「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」では、歩き遍路の歩行ルートに絞って地図が作られているので、駅・バス停や宿泊施設がわりと近くの便利な位置にあるのに、地図上には表示されていないから気づかなかった、ということも起こります。こんなときにはコンパクトな四国全図や県別地図などを持ち歩くと、前夜に歩行ルートを確かめるときに重宝します。
特に、徒歩だけでなく、鉄道やバスなどの公共交通機関を利用する方は、歩行ルートよりも行動範囲が広くなるので、広い範囲をカバーした地図が活躍します。例えば、第43番札所・明石寺から第44番札所・大寶寺に公共交通機関を利用する場合、JR予讃線卯之町駅からJR松山駅まで鉄道に乗り、JR松山駅からバスに乗り継いで久万高原町に行くのですが、こうしたルートは「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」には想定されていません。こんなときに広域地図があると、それぞれの札所の位置関係が一目でわかって便利です。
JR高知駅に観光パンフレットとともに置いてあった地図「四国遍路へ出かけよう!」(発行:四国ツーリズム創造機構)は無料ながら四国全図に八十八ヶ所の札所、鉄道や道路などが書いてあり、「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」だけではわかりにくい札所と駅の位置関係などが一目瞭然で使い勝手がよかったです。
ただ、「四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」などの地図は、紙でできているので雨に弱く、使っているうちにぼろぼろになってしまいます。ジップロックのように封ができる半透明の袋か、登山用品の地図ケースに入れて使用すると耐久性がぐんとアップします。モンベルの地図ケースが活躍してくれました。