2つの札所が同居した歴史

 石鎚神社と前神寺に参拝してからJR石鎚山駅に戻り、順番ですと次は第65番札所・三角寺、そして四国八十八ヶ所でもっとも標高が高い第66番札所・雲辺寺となりますが、伊予西条駅からJR予讃線各駅停車に乗ったところ、不覚にも眠り込んでしまい、三角寺の最寄となる伊予三島駅を乗り過ごしてしまいました。う~ん、連日の疲れが溜まったのか…。
 まあ、乗り過ごしてしまったものは、仕方がありません。気を取り直して、観音寺駅まで行き、第68番札所・神恵院と第69番札所・観音寺を先にお参りすることにしました。

 観音寺駅から市街地を抜けて瀬戸内海の方向に20分ぐらい歩き、財田川の河口付近にかかる橋をわたると、こんもりした緑に囲まれた琴弾山(ことひきやま)に突き当たります。この小高い山の頂上に応神天皇や神功皇后を祀る琴弾八幡宮(ことひきはちまんぐう)があります。
 琴弾八幡宮は江戸時代まで神仏習合の霊場で、四国八十八ヶ所の第68番札所に定められていました。ところが、これまた明治時代の神仏分離令によって、琴弾八幡宮から本地仏の阿弥陀如来を祀る神恵院が引き離され、神恵院は琴弾八幡宮の神宮寺だった観音寺の敷地内に置かれることになりました。

 こうした経緯のため、いまでは一つの同じ境内のなかに第68番札所・神恵院と第69番札所・観音寺という2つの札所が存在する、という珍しい霊場になっています。山号も同じ七宝山。山門もひとつで、両方の寺名が墨守されています。納経所も1カ所に統合されていて、納経帳を出すと、神恵院と観音寺の2カ所の納経をいただけます。まあ、納経代も2カ所分必要ですが…。

第69番札所・観音寺の本堂は、とても立派な楠に見守られています

 境内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは、観音寺の本堂の前にある大きなけやきです。何とも立派な枝ぶりで、樹齢は数百年でしょうか。気持ちのいい木陰とベンチが参拝者をなごませてくれます。

 一方、神恵院の本堂は、コンクリートを打ちっぱなしにした外壁のなかにあります。無機質で味気ない印象を受けましたが、トンネルの内側には、白木で建てられたきれいな本堂がありました。

第68番札所・神恵院の本堂は、打ちっ放しの外壁に守られていました

 神恵院と観音寺に深い縁のある琴弾八幡宮は、古代のロマンを感じさせる古社です。祭神となっている神功皇后は妊娠したまま朝鮮半島に出兵し、応神天皇を産んだと日本書紀などで伝わっていますから、当然ながら瀬戸内海を往復したわけです。

 戦前は「三韓征伐」として一般に知られていた神功皇后の朝鮮半島への出兵は、戦後になって朝鮮半島をめぐる政治的な歴史問題になってしまった印象もありますが、私の記憶に残っているのは、機動戦士ガンダムで有名な漫画家の安彦良和が日本の近現代史と絡めて描いた「天の血脈」(アフタヌーンコミックス)です。好太王碑をめぐる日韓古代史や縄文時代にさかのぼるとされるミシャグジ信仰を受け継ぐ諏訪大社の巫女さんがヒロインとして登場するなど、歴史ファンが楽しめるコミックスです。

天の血脈(1) (アフタヌーンコミックス)

 「天の血脈」には出兵を終えた神宮皇后が赤ん坊の応神天皇を抱いて軍船に乗って瀬戸内海を凱旋する勇ましい場面があります。琴弾山のある琴弾公園はそうした瀬戸内海航路の一角にあり、白砂青松の美観で知られている名所でもありますので、赤ん坊の応神天皇を連れた神功皇后が立ち寄っていてもおかしくないかもしれない、などと想像をたくましくしてしまいました。

【第20日 昼の部】
[歩いた日]2016.10.20
[コース] 伊予西条駅-石鎚神社-前神寺-観音寺駅-神恵院・観音寺-伊予三島駅-三角寺-観音寺市
[天気] 晴れ
[歩行距離] 18.2km
[歩数] 2万4047歩

【利用した公共交通機関】
 <石鎚山駅-伊予西条駅-観音寺駅>
 JR四国 予讃線
 料金 1,280円 
 URL http://www.jr-shikoku.co.jp/01_trainbus/jikoku/

 

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