足摺岬へ(2)四万十大橋から伊豆田峠越え

きょうも晴天に恵まれ、群青に輝く黒潮町の海、圧倒的な水量を誇る四万十川の流れに魅了され、続いて伊豆田峠と真念庵が伝える古い遍路道の面影を偲びながら、足摺岬を目指しました。

井ノ岬の真上にさしかかった朝の太陽。海から砂浜まできらきらと輝いていました。

まずは民宿みやこから5分ほど歩き、大方遍路小屋の近くで海辺に出てみました。きのうの夕方に歩いた井ノ岬を背景に、少し登ったばかりの太陽がきらきらしています。遠くには約50km先の足摺岬が霞んでみえていて、本当にたどりつけるのだろうか、という気持ちが湧いてきます。

入野松原の遊歩道は快適な遍路道になっています。左側の樹間には太平洋が見えました。

鞭バス停のすぐ先で国道56号線から離れると、やっと自動車の騒音と排気ガスから解放されます。聞こえてくる音は潮騒と松林のざわめきばかり。整備された土佐西南大規模公園の遊歩道は快適な遍路道になっています。

田野浦から農免道路を歩き、90分ほどで四万十大橋が見えてきます。橋のたもと近くにはコンビニのローソンがあり、食料や菓子を調達。一休みして四万十川の土手にあがると、あまりにも豊かな水量に圧倒されました。河岸の木々も芽吹きの時期です。

圧倒的な水量を持つ四万十川。

大橋から河口までは約4knあります。それでも大橋の真下は汽水域になっているらしく、ところどころで海の魚らしき魚影が見えました。大橋の中ほどにはベンチが2カ所設置されていて、歩行者は四万十川の大きな景色を楽しむことができます。ベンチを設計した人たちも粋だなあ、と思いながら、私もゆっくり四万十川を眺めることができました。こんな調子でのんびり歩いていたのですが、そのツケは後ほどやってきます。

大橋を渡ると、あとは国道321号線を歩くことになります。津蔵渕の先には、伊豆田道という古い街道が残っており、そこが歩き遍路の道筋となっています。ただ、現代の歩き遍路の多くは国道沿いにトンネルをくぐっていくようで、伊豆田道を歩くお遍路さんは少ないそうです。私は迷うことなく、伊豆田道を選びました。

古めかしい石碑が建つ伊豆田峠。整地されたスペースにはかつてお堂か茶店があったのかも。

国道321号線には伊豆田道の分岐点にきちんとした標識がありません。歩き遍路用の地図で検討をつけ、右手の細い道に入っていきました。「この先通り抜けできません」との自動車向けの標識がありましたが、いちいち気にしていたら遍路道は歩けません。20分ほど歩いて登り口があり、そこから10分ほどで伊豆田峠に出ました。峠には整地された場所があり、現在は竹が何本も生えていますが、かつてお堂か茶店があったことがわかります。伊豆田峠から続く下り道は、あまり整備されていなくて石がごろごろしている区間もありましたが、よく踏まれた道でした。

真念庵の石仏。四国八十八ヶ所霊場それぞれの御本尊が刻まれている。

真念庵は、江戸時代に遍路道を整備した真念が建てた地蔵堂がいつのまにか真念庵と呼ばれるようになったそうです。37番岩本寺、38番金剛福寺、39番延光寺の3つの札所はいずれも距離が離れているので、歩く以外に交通手段がなかった江戸時代のお遍路さんに便宜を図るため、真念は3つの札所の中間地点である市野瀬にお堂を建て、お遍路さんが休憩したり宿泊できるように取り計らったそうです。

四国八十八ヶ所巡礼が現在のかたちを整えるために真念の果たした役割は大きかったようで、この真念庵を起点に足摺岬への遍路道を示す丁石が整備されていました。真念は史上初となる四国八十八ヶ所のガイドブック「四國遍禮道指南」(しこくへんろみちしるべ)を書いてベストセラーになったことでも知られてます。この本には現代語訳もあるので、手軽に読むことができます。

真念庵の周囲にはいまも往時の遍路道を偲ばせるたたずまいが残っています。苔むした石段や四国八十八ヶ所霊場の御本尊を模した石仏など、メーンストリートの国道から少し寄り道してみる価値があると思います。

四万十大橋のベンチでボーッとしたり、伊豆田道の山道を歩き、真念庵に立ち寄るうちに、時間はあっという間に過ぎてしまい、結局、本日のお宿までたどり着けず、市野瀬からバスに乗ることにしました。あすバスで市野瀬に戻って、再び足摺岬に向けて歩き出すことにします。

[歩いた日」2019.3.15
[天気]晴れ
[コース]黒潮町大方(民宿みやこ)ー入野松原ー四万十大橋ー津蔵渕ー伊豆田峠ー真念庵ー市野瀬バス停ー(高知西南交通バス)ー民宿いさりび前下車
[歩いた距離] 26.9km   34,871歩

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