地元の魅力 高校生がお接待で再発見
松尾峠を越えると愛媛県愛南町に入ります。長かった高知の旅程がどうにか終わり、四国八十八ヶ所巡礼も後半戦に突入しました。愛南町は愛媛県宇和島市と高知県宿毛市に挟まれた4町1村が2004(平成16)年に合併して誕生した新しい自治体で、リアス式の複雑な海岸線が美しい風景を作り出しています。
松尾峠から緩やかな坂道を下っていくと、里山と田んぼが広がる穏やかな田園地帯に出ます。落ち着いた気配の神社があって、鳥居脇のベンチで一休み。松尾峠から1時間15分ほど歩いて旧一本木町の中心部に着きました。コンビニで買ったサンドイッチをほおばりながら、近くのベンチでスマートフォンとにらめっこして宿探し。この日は第40番札所・観自在寺に参拝してから宇和島で泊まりたかったのですが、土曜日のため宇和島市中心部の宿がどこも満杯状態で予約がとれません。結局、宇和島からさらに先にある北宇和島の遍路宿もやいに泊めてもらうことになりました。
当初の想定よりも先に進むとなると、あまり時間に余裕がありません。そこで、一本松から観自在寺まで路線バスを使うことにしました。こうしたバス代も「四国西南周遊レール&バスきっぷ」のおかげで追加料金がはかからないので、とってもお得な感じ。ただ、一本松のバス停はちょっとわかりにくいところにあります。コンビニのある国道55線のバイパス沿いを探しましたがみつかりません。バス停は旧一本松町役場のある市街地に戻り、旧国道沿いの商店わきにありました。
観自在寺のある御荘(みしょう)はリアス式海岸の入り江に注ぎ込む僧都川の河口に広がる町で、その中心部を宿毛街道が横切っています。境内に入ると、本堂に続く緑の多い参道にテントが建てられ、地元の高校生たちがお遍路さんを相手にボランティアでお接待を行っていました。まずお参りと納経をすませ、ありがたくお接待を受けました。ベンチに腰掛けると、手作りのクッキーとお茶を高校生たちが持ってきてくれました。
聞けば、学校のクラブ活動で愛南町の観光資源について考えるうちに、観自在寺を訪れるお遍路さんへのお接待を行うアイデアに浮かび、ご住職に相談したそうです。メンバーの一人は「お接待をやってみて、日本中のあちこちから愛南町に来てくれるひとがいることがわかりました」と笑顔で話してくれました。高校生たちが自分が育った町の魅力を再発見する機会になるのだから、こういうお接待のクラブ活動はとってもいい取り組みですね。クッキーもおいして、元気が出ました。
宇和島行きの路線バスの時刻にあわせて観自在寺を出発。あとになって歩き遍路の人たちから聞いたのですが、御荘から宇和島に向かうと柏坂峠と番外霊場の清水大師があり、このあたりの遍路道に昔ながらの雰囲気が残されているらしい。古道が大好きな私はバスに乗ったことをいささか公後悔し、次回はぜひ歩いてみたいと思ったのでした。
御荘から1時間15分ほどバスに揺られ、JR宇和島駅に着きました。宿に行くまでに少し時間があったので、駅近くの四国別格二十霊場第6番札所の龍光院に寄り道してみました。ここは市街地から少し高台になっていて、宇和島城をはじめ市街地を一望できる好立地です。私が参拝した時は夕方だったためかお遍路さんは少なく、境内はとても静かでした。
へんろ宿もやいは、宇和島駅から予土線にひと駅だけ乗って北宇和島駅で降り、徒歩10分弱のところにありました。民家の2階部分が遍路宿になっていて、素泊まりだけ。食事は近所の食堂で済ませました。必要な設備はきちんと揃っていて、ぐっすりと眠れました。
【第15日 午後の部】
[歩いた日] 2016.10.15
[コース] 宿毛-松尾峠-一本松-観自在寺-宇和島ー北宇和島
[天気] 晴れ
[歩行距離]18.2km
[歩数] 2万4171歩
【利用した公共交通機関】
<一本松-御荘>
宇和島自動車交通 宇和島バス
料金 430円(四国西南周遊レール&バスきっぷを使わない場合)
http://www.uwajima-bus.co.jp/01bus/index.htm
<御荘郵便局前-宇和島駅>
宇和島自動車交通 宇和島バス
料金 1,400円(四国西南周遊レール&バスきっぷを使わない場合)
http://www.uwajima-bus.co.jp/01bus/index.htm
<宇和島-北宇和島>
JR四国
料金 160円(四国西南周遊レール&バスきっぷを使わない場合)
http://www.jr-shikoku.co.jp/01_trainbus/jikoku/
<四国西南周遊レール&バスきっぷ>
http://www.jr-eki.com/ticket/brand/1-00A
【お宿メモ】
[宿泊先] 遍路宿もやい
住所 愛媛県宇和島市高串1-505-1
電話 0895-22-5508
http://www.henroyadomoyai.com/
[宿泊費] 3,000円(素泊まり)
受付は1階が事務所。2階が遍路宿になっています。食事の提供はなく、素泊まりだけ。食事は近所の食堂やコンビニで済ませることになります。家庭用の風呂を自分で焚いて入浴します。必要十分な設備がきちんと整っていて、料金もお得感があり、気持ちよく過ごせました。