朝の冷気 大寺の風格
四国八十八ヶ所の札所では、納経所の受付時間は午前7時から午後5時まで。たくさんの札所を巡拝したければ、とにかく朝7時に最初の札所に参拝し、その日の行程をスタートすることが大切です。朝の境内は参拝客が少なく、気持ちよくお参りできます。
この日は松山市北部にある第52番札所・太山寺(たいさんじ)から巡礼をはじめ、途中で鉄道に乗って今治市に移動し、回れるところまで進もうと考えました。私の場合、前日の夜に翌日利用しそうな路線バスの経路や鉄道の運行ダイヤなどをスマートフォンでざっと調べます。鉄道はJR四国のサイトで必要な情報がほとんどわかるのですが、路線バスはバス会社ごとにサイト構成がマチマチで、そもそもどんな路線が四国八十八ヶ所巡礼に利用できるのかさえ、初心者にはよくわからないことが多いです。私が利用した路線バスや鉄道については、毎回文末に掲げていますので、ご参考になれば幸いです。
さて、松山市中心部から太山寺に朝一番に行くには、伊予鉄バス・運転免許センター行きの始発バスに乗ります。松山市駅前6:35発ですが、私は途中のJR松山駅前から6:45に乗車しました。片廻バス停で降り10分ほど歩いて、7:20ごろには太山寺の山門に着きました。
山門から仁王門や本堂までがけっこう離れています。歩いて5分以上かかりました。それだけ太山寺の境内は広いのです。
この境内の規模から想像できるように、太山寺はかつてきわめて勢力のあった大寺だったそうです。階段を登って仁王門をくぐると、きれいに整備された広場に本堂や太子堂などの伽藍が整然と並び、奈良や京都にある大きな仏閣にきたような風格を感じました。鎌倉時代に建てられた本堂はとても立派で、国宝に指定されているほど。国の重要文化財となっている御本尊の十一面観音像をはじめ寺宝も豊富です。朝の冷気がまだ残っている時間だったので、静かにお参りができました。
第53番札所・円明寺(えんみょうじ)は、太山寺から歩いて30分足らず。仁王門から本堂に向かうと、境内のど真ん中に、スマートな中門があります。境内にある説明板を読んでいくと、本堂の鴨居に江戸時代の伝説的な彫り師、左甚五郎の龍があったり、四国八十八カ所で現存する最古の銅板納札が保存されていたり、この札所もかつての勢いを感じさせます。左甚五郎といえば、日光東照宮の眠り猫で有名ですが、松山でも活躍していたんですね。
円明寺で松山市内にある8か所の札所が終わり、次は今治市に移ります。第54番札所・延命寺までは34.5kmあります。瀬戸内海に沿って歩くと、丸一日かかります。私は鉄道を使うことにしました。円明寺の最寄りとなる伊予和気駅で各駅停車に乗り、伊予北条駅で特急しおかぜに乗り換え、今治駅を目指します。所要時間は、特急の待ち合わせ時間を含めて、1時間ほどです。穏やかな瀬戸内海を車窓から眺めているうちに、いつの間にか居眠りをしてしまいました。
【第18日 午前の部<1>】
[歩いた日] 2016.10.18
[コース] JR松山駅前-太山寺-今治駅-南光坊-仙遊寺-国分寺-今治市内
[天気] 晴れ
[歩行距離] 26.3km
[歩数] 3万3743歩
【利用した公共交通機関】
<JR松山駅-片廻>
伊予鉄バス 勝岡・運転免許センター線
料金 360円
URL http://www.iyotetsu.co.jp/rosen/bus/
<伊予和気駅-今治駅>
JR四国 予讃線
伊予北条駅で乗り換え。特急しおかぜ12号利用。
料金 1,370円(運賃850円+特急料金520円)
URL http://www.jr-shikoku.co.jp/01_trainbus/jikoku/