暮れゆく久米寺 若き空海の出会いを偲ぶ
飛鳥の久米寺には若き日の空海が『大日経』に出会った場所という伝承があります。空海にとって『大日経』の「自心を実のごとく知るなり」という言葉との出会いは決定的だったとみられ、自分の心を掘り下げながら悟りの道筋を見極めようとする姿勢は終生変わることがありませんでした。
飛鳥の久米寺には若き日の空海が『大日経』に出会った場所という伝承があります。空海にとって『大日経』の「自心を実のごとく知るなり」という言葉との出会いは決定的だったとみられ、自分の心を掘り下げながら悟りの道筋を見極めようとする姿勢は終生変わることがありませんでした。
今回の高野山訪問では、大学院通信課程のスクーリング授業として、3日間缶詰め状態になり、密教瞑想法なる授業に出席しました。在家でもできる瞑想法として、阿息観、月輪観、阿字観の授業を受けたのですが、大変充実した講義と実技でした。
修行時代の空海の足跡をたどる今回の歩き遍路は室戸岬がファイナルとなりました。しかも、きょう6月15日は弘法大師空海の誕生日として真言宗の寺々がお祝いする降誕祭の日。室戸岬の札所には弘法大師の誕生日を祝う法要やお接待が展開されていました。
高野山から桜が咲く天野の里まで、町石道を歩いて下りました。随筆家の白洲正子が愛した隠れ里は春爛漫。西行堂も丹生都比売神社も桜の花に囲まれて匂い立つような風情でした。生命力があって香りが控えめな山桜が魅力的です。
四国八十八ヶ所を回って基本的なことを学び直したいという気持ちが強くなり、高野山大学大学院の通信教育課程に入学しました。入学式では、ハイティーンの新入生たちに混じり、54歳の私も新入生席の一角に! 新鮮な気分になりました。
第2番札所・極楽寺は「安産大師」で知られる札所です。赤ちゃんを思わせるお地蔵さまは、真っ赤なハートマークの上着とおそろいの座布団に包まれ、いかにも「インスタ映え」しそうなかわいらしさ。本尊の阿弥陀如来からは、浄土信仰が広がる以前に、阿弥陀さまが海洋信仰と関係があったとの専門家の指摘を考えさせられます。