南国高知 厳かな冬の海
唐浜の民宿をチェックアウトして、午前6時すぎに国道55号線を歩き始めたところ、周囲は真っ暗。どこから海なのかわからないほど暗いのに、波の音だけがしていました。そんな国道を歩くのはかなり不気味でした。ときどき通り過ぎる自動車のヘッドライトだけがビカビカと光っていました。
安田漁港を過ぎたあたりで周囲が明るくなり、やっと「いまの天気は曇りなんだ」と気づきました。雲が厚くて日の出はみられませんでしたけど、海岸に出てみたらモノトーンの海辺に朝焼けが彩りを添えて、とってもいい感じ。
周りには誰もいなくて、波の音だけが大きく響いていて。南国高知の冬の海には独特の厳かさがあるんだと知りました。
そこから海岸線沿いや国道55号線をひたすら歩きます。安芸市を過ぎると、よく整備されたサイクリングロードが夜須まで繋がっていました。
このサイクリングロードは、海岸沿いの防風林を貫くように真っ直ぐな道が伸びていて、実に気持ちよく歩けます。スピードを上げて歩くこともできますし、自動車や信号などを気にせず歩くことだけに集中できるので、「歩く瞑想」にもぴったりじゃないでしょうか。
サイクリングロードの途中には、展望台がいくつかあり、ここで海を眺めるのは最高にいい気持ちでした。海に向かってベンチに座ると、左には室戸岬から行当岬、羽根岬、大山岬とこれまで歩いてきた道筋が一望できますし、右をみれば桂浜やその先の横浪半島まで視界に入ってきます。お遍路に関心のある方なら、それぞれの眺めに参拝した札所や番外霊場と重ね合わせることができるでしょう。私はあんまり気持ちがいいので、つい居眠りしてしまい、出発が遅くなってしまいました。
遍路道を歩いていると、いいことばかりでもありません。この日は午後の降水確率が40%だったのですが、夜須についたところで、通り雨に会いました。冬の雨に濡れたまま歩くと、いかにも風邪をひきそうだったので、近くの道の駅で雨宿りしました。半年ぶりに歩き遍路を再開して2日目ですが、足にもだいぶ筋肉痛が出てきちゃいました。
こんな調子で思ったほどペースを上げることができず、ごめんなはり線のいち駅に着いたときには、すでに午後4時半を過ぎてしまいました。これから第28番札所・大日寺に向かっても納経所が閉まる午後5時にはお参りが終わらないと判断し、本日はここで打ち止めとしました。今晩は高知市内のホテルに泊まり、明日のいち駅から再び歩き始めます。
[歩いた日]2018.12.23
[歩いた距離]29.6km 48,557歩